2009年 09月 01日
はじめのいっぽ |
毎年、結婚記念日のある八月に訪ねるレストランが僕たちにはあります。
奥さんと僕にとって特別なその店は、フランス料理人としての僕、個人にとっても
未だ輝き続ける、眩しく、大切なお店なのです。
16年前、調理師学校を卒業した僕はそのお店でフランス料理人としての
最初の一歩を踏み出しました。
サービス(ホール係)に配属された僕は勇んで仕事をするものの、
トイレ掃除をしても、グラスを拭いても、料理を運んでも、電話に出ても、
賄いを作っても、パンを焼かせてもらっても、洗い物しても、何やっても「ダメ。」
ずっと怒られてばっかりでした。
ひたむきに夢のある料理を創るシェフや、華のような愛に溢れたマダムのサーピスや
全力で駆けながらも足手まといになる僕に優しい声をかけてくださる先輩達を
間近に見させてもらいながらも僕は目と耳をふさぎ自分自身から逃げました。
働き始めて半年も経っていなかったと思います。
自分から逃げた僕はその後もいろんなモノから逃げ続け、とうとう追い詰められ、
絡みついた糸を引きちぎるつもりでフランスに渡りました。
時は流れ、やがて当然ながら少しだけ歳を重ねた僕にも少しながら自信も芽生え、
エスパスを開け、偶然にもそのお店で働いていた奥さんと出会い、結婚をして、
二人で精一杯のお店をして幸せで充実した日々を送っていても、心の奥の方では、
19歳の時、あの日に逃げた自分から逃げきれない僕もいました。
二人でやっている小さなエスパスにシェフとマダムが来られたあの日までは。
「がんばってるね。」
そう言って頂いてからは、勇気を持って進んでいけそうな気がしています。
16年前その短い夏の日に唯一僕が褒められた言葉も
「がんばってるね。」
あの時先輩達やシェフやマダムが僕に訥々と話されたフランス料理人(というより社会人)
としての気概や覚悟、情熱や夢。
若いスタッフ達を引っ張る立場になりようやく少しずつ解りかけてきた気がします。
賑やかな港の見える実に神戸らしいそのお店で久しぶりにお会いするマダムは
相変わらず魅力的で凛としたサービスでもてなしてくださり、
シェフのお料理は水面に映る光のように眩しくも優しく僕たちを包むような
まさしく唯一で温かい料理で、
いつも確実に好みに合うワインを選んでくださるソムリエさんや
シェフと一緒に革命を起こしたNさんの焼く美味しすぎのパンを
堪能しながら、
僕にとってのフランス料理店とはきっとこのお店の事なのだな、
と楽しそうに話す二人のマダムを見ながら思ってました。
厚かましくもこのお店に僕は出会えて幸せです。
また、行かせてください。
奥さんと僕にとって特別なその店は、フランス料理人としての僕、個人にとっても
未だ輝き続ける、眩しく、大切なお店なのです。
16年前、調理師学校を卒業した僕はそのお店でフランス料理人としての
最初の一歩を踏み出しました。
サービス(ホール係)に配属された僕は勇んで仕事をするものの、
トイレ掃除をしても、グラスを拭いても、料理を運んでも、電話に出ても、
賄いを作っても、パンを焼かせてもらっても、洗い物しても、何やっても「ダメ。」
ずっと怒られてばっかりでした。
ひたむきに夢のある料理を創るシェフや、華のような愛に溢れたマダムのサーピスや
全力で駆けながらも足手まといになる僕に優しい声をかけてくださる先輩達を
間近に見させてもらいながらも僕は目と耳をふさぎ自分自身から逃げました。
働き始めて半年も経っていなかったと思います。
自分から逃げた僕はその後もいろんなモノから逃げ続け、とうとう追い詰められ、
絡みついた糸を引きちぎるつもりでフランスに渡りました。
時は流れ、やがて当然ながら少しだけ歳を重ねた僕にも少しながら自信も芽生え、
エスパスを開け、偶然にもそのお店で働いていた奥さんと出会い、結婚をして、
二人で精一杯のお店をして幸せで充実した日々を送っていても、心の奥の方では、
19歳の時、あの日に逃げた自分から逃げきれない僕もいました。
二人でやっている小さなエスパスにシェフとマダムが来られたあの日までは。
「がんばってるね。」
そう言って頂いてからは、勇気を持って進んでいけそうな気がしています。
16年前その短い夏の日に唯一僕が褒められた言葉も
「がんばってるね。」
あの時先輩達やシェフやマダムが僕に訥々と話されたフランス料理人(というより社会人)
としての気概や覚悟、情熱や夢。
若いスタッフ達を引っ張る立場になりようやく少しずつ解りかけてきた気がします。
賑やかな港の見える実に神戸らしいそのお店で久しぶりにお会いするマダムは
相変わらず魅力的で凛としたサービスでもてなしてくださり、
シェフのお料理は水面に映る光のように眩しくも優しく僕たちを包むような
まさしく唯一で温かい料理で、
いつも確実に好みに合うワインを選んでくださるソムリエさんや
シェフと一緒に革命を起こしたNさんの焼く美味しすぎのパンを
堪能しながら、
僕にとってのフランス料理店とはきっとこのお店の事なのだな、
と楽しそうに話す二人のマダムを見ながら思ってました。
厚かましくもこのお店に僕は出会えて幸せです。
また、行かせてください。
by restroespace
| 2009-09-01 00:44
| 日記